クレジットカードの利用明細は領収書の代わりになる?|インボイス制度での正しい扱い
最終更新:2026年08月28日
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「カードで払ったから、利用明細を取っておけば大丈夫」——これはインボイス制度では通用しません。ただし、条件によっては明細すら要らない場合もあります。ここを正確に押さえておくと、レシートの管理がかなり楽になります。
1. なぜ利用明細ではダメなのか
理由は金額でも様式でもなく、「誰が発行した書類か」です。
インボイス(適格請求書)は、商品やサービスを売った事業者が、買った相手に交付するものです。ところがクレジットカードの利用明細は、カード会社が、カードの利用者に対して発行する通知書です。売り手が出した書類ではないため、消費税法上の請求書等には当たりません。
・レシート/領収書 → 店(売り手)が発行 → インボイスになりうる
・カード利用明細 → カード会社が発行 → インボイスにならない
つまり、カードで払っても店が出したレシートのほうを保存する必要があります。
2. レシートなら何でもいいわけでもない
インボイスとして使うには、レシートに次の項目が入っている必要があります。
- 発行した事業者の名称と登録番号(T+13桁)
- 取引年月日
- 取引の内容(軽減税率の対象ならその旨)
- 税率ごとに区分した合計額と、適用税率
- 税率ごとの消費税額など
小売店や飲食店などは「適格簡易請求書」でよいため、宛名がなくても問題ありません。ただし登録番号が入っていないレシートは、そのままでは仕入税額控除に使えません。もらった時点で確認する習慣をつけておくと、後で困りません。
3. 1万円未満なら、レシートがなくてもよい場合がある(少額特例)
ここが実務でいちばん効きます。税込1万円未満の課税仕入れは、インボイスがなくても帳簿の保存だけで仕入税額控除を受けられるという特例があります。
使える人の条件
本則課税で、次のどちらかを満たす事業者です。
- 基準期間の課税売上高が1億円以下
- 特定期間の課税売上高が5,000万円以下(個人事業主は前年1〜6月、法人は前事業年度開始後6か月)
適用期間
令和5年10月1日から令和11年(2029年)9月30日までの仕入れ・経費が対象です。期限つきの制度なので、いつまでも使えるわけではありません。
判定の単位に注意
1万円未満かどうかは、1回の取引の合計額で判定します。1つ1つの商品ごとではありません。合計9,800円の買い物は対象、合計10,500円の買い物は対象外です。中身を分けて考えることはできません。
4. 明細をWebで見ている場合は、別の義務がある
カードの利用明細を紙で郵送してもらわず、Web上で確認・ダウンロードしている場合、それは電子帳簿保存法でいう「電子取引」に当たります。
この場合、ダウンロードしたデータはデータのまま保存する必要があり、印刷して紙で保管するだけでは要件を満たしません。あわせて、日付・金額・取引先で検索できる状態にしておくか、事務処理規程を備え付ける必要があります。
5. 法人カード・事業用カードを使うときの実務
事業用のカードを1枚に絞ると、経理はかなり楽になります。プライベートと混ざらないので、明細をそのまま突き合わせに使えるからです。
ただし「カードを分けたからレシートは要らない」ではありません。上で見たとおり、仕入税額控除にはレシート側が必要です。カード明細は「払った事実の記録」、レシートは「消費税を控除するための証拠」と、役割が違うものだと考えてください。
実務としては、次の形が現実的です。
- 支払いは事業用カードに寄せる(記帳の突き合わせが楽になる)
- レシートはその場で受け取り、捨てない
- 1万円未満のものは、少額特例が使えるなら深追いしない
- 1万円以上のものは、登録番号が入っているかだけ確認する
6. まとめ
| 書類 | 仕入税額控除に使えるか |
|---|---|
| 店のレシート(登録番号あり) | 使える |
| 店のレシート(登録番号なし) | そのままでは使えない |
| カードの利用明細 | 使えない(カード会社が発行した書類のため) |
| 1万円未満の取引 | 条件を満たせば帳簿だけでよい(令和11年9月30日まで) |
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